世界的な人口増加の兆候が見え始めたのは、十九世紀初頭だった。
英国の経済学者マルサス(Thomas Robert Malthus/「人口論」を発表して社会に大きな衝撃を与えた。1766〜1834)は、人口増加が深刻な食糧不足を齎(もたら)すと予告した。
しかし十九世紀後半からは、南北アメリカでの土地開発や化学飼料の出現で農作物や家畜が思った以上に繁殖し、食料生産が急速に進んだ為、その懸念(けねん)は薄れた。この結果、近代文明社会では、その科学力をもって、限り無く食糧を人類に提供出来ると言う傲慢(ごうまん)な考えが生まれた。